命あるかぎり

今しがた 一匹の蝉がないていました。
9月も半ばを過ぎ、蝉の声はその一匹しか
聞こえてきません。
蝉は生まれてから何年もの間、土の中で
暮らします。
そして、時がくると地上へ出てきて、
自由に飛ぶことのできる
その羽をやっと広げ
大空に舞い上がるのです。
そして、全身を震わせ
なくのです。
まるで、この世に生まれてこれたことのよろこびをあらわすかのように。
たとえ、その期間が短くさだめられたと
していても
たとえ、そこには誰ひとり仲間がいないとしても
命のあるかぎり全身全霊でその一瞬一瞬を
生きるのです。

命あるかぎり
瞬間もいとおしく
与えられた
この身体と心を大切に
生かしていただいていることに
感謝し
どんな時も精一杯生きていくんだと
この蝉が教えてくれているんだと思うのです。